2つの時の時空日記:改

2つの時のネタバレ有りの設定とか話とか色々。はてなダイアリーからお引越し。

2つの時リスタート計画02:様々な姿

リスタート計画、続きます!
今回会話多めです。

ルクスが着いた先は、ポポロクロイス平原だった。
さわやかな風がルクスの頬に触れ、そのまま髪を撫でる。

「ふふっ、この風はどの時へ行っても変わらないなぁ。……さてと」

ルクスは振り向くと、翼の生えた老婆が立っていた。

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「……ルクス、あなたを待っていたわ。ジゲンに会ったのでしょう……?」
「うん、そうだけど? その翼……もしかして、フォーラが務めていた集落の……」
「もう……昔の話よ。わたしは元集落長、ということにしておいて。……それより、わたしはジゲン……正しくはジゲンだった存在に頼まれてあなたの旅の手助けをすることになったの。あなたはオンルッカー……あくまで見守る存在だから、あなたに代わってきっかけとなる行動を起こすわ」
「へぇ、助かるよ。ところでその『ジゲンだった存在』って……何?」
「そうね……それについては全てを説明することはできないけど……」

老婆は青い宝玉、時空玉を取り出しそれを空へ掲げた。
時空玉は様々な色に輝き、不思議な像を作り出した。
それは様々な人物、生物の過去や未来の姿だった。

「あなたから見て新しいこの時の世界には……様々な時の、様々な人物の姿があるの。ジゲンだってそうだし、わたしも……」
「僕が見たのは別の時のジゲンってことだね」
「そうよ。……それで、この旅はその様々な人物に会いに行くことになるの。例えば……そうね、さっきルクスが言ったフォーラ……未来のフォーラにも会うことになるわね……」

老婆は時空玉を傾けると、像は未来のフォーラの姿へと変えていった。

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「未来のフォーラは、わたしが集落長の集落に来て、そこでかつて時守り族が叶えたかった『全ての種族が仲良く暮らす』という夢を叶えるために頑張ったの……」

老婆はそう呟くと、時空玉の像はふっと消え去り、輝きを失った。
その時、ルクスの背後から女性の声が聞こえてきた。

「そのフォーラこそ、私よ……ルクス。この時でははじめましてね」
「あっ……!」

そこには、フォーラが立っていた。
先ほどの像のフォーラ、そのものだった。

「驚かせてごめんね。でもこうやって、手順を踏んでの説明が必要だったの」
「ううん、大丈夫。こういうのには慣れてるし。……あっ、僕を通してこの世界を見てる皆はまだ、未来のフォーラのこと知らなかったよね?」
「えっ、ルクス以外に誰か見ているの? ちょっと恥ずかしいな……」
「まあね。僕自身も違いを知りたいことだし、説明よろしく!」
「う、うん……! えっと、私たちの世界を見てる誰かさん、初めまして、フォーラです。私は今……クー……じゃなかった、この人が集落長の集落で種族同士の交流のお手伝いをしています」
「フォーラ……もうバレバレよ……。まあいいわ、わたしが説明を続けるわ……。フォーラにはディオンっていうお兄さんがいた訳なんだけど、ディオンはこの集落はいないわ。だって、彼には彼女ができて……」
「そ、その話は飛ばして! えっと、だから、その。ディオン兄ちゃんに心配かけたくないからこうして、一人でこの集落に来たの。それで、集落長の補佐を担当することになって……こうして時を越えて様々な人を支えたり、異種族の間の争いを止めたりしてるの」
「質問しつもーん! 時を越えて歴史を変えるのって、おかしなことにならない? 僕はそれを禁じられてるからこうして見てるだけなんだけど……」
「良い質問だね、ルクス。危ない時の改変について見張っているのは時間の竜なんだけど……。昔、その時間の竜に聞いたことがあったの。『時を越えて旅をして、その結果歴史が変わるのは大丈夫なのか』って。そしたら時間の竜は笑ったの。『今そこにキミたちがいるのが答えだ』って……」
「結果として存在しているから、セーフ……みたいなものかな?」
「そうみたい。でも、時間の竜はその後にもう少し深く話したの」

黒い光が輝く時、新たな物語が紡がれる。
許されぬ闇光<やみびかり>は時空を越え、許される黒い光に願う。
『我の夢を叶えたまえ』と……。
それすなわち、気が遠くなる程の、時の改変行われし時。
黒い光で生まれるものに、許されぬ冒険譚もある中、
闇光は<2つの時>を誕生させた。
それは、闇の時でもあり、光の時でもある。過去でもあり、未来でもある。敵でもあり、味方でもある。期待でもあり、後悔でもある。
そんな、様々なものが入り混じった2つの時は、これからもずっと、改変が行われ続けるであろう。
本当の歴史に刻まれるのがいつになるのかは、誰も知らない。
だからこそ、今この時に存在を許されている者は歴史を残すことができる。
我ら時間の竜は、その歴史を残す者を監視する者……。
我らが監視を続ける限り、我らが存在する限り、世界は続いてゆくだろう。

「……って」
「おおー、すごい壮大な答えだね。えっと、つまり……どういうこと?」
「簡単に言えば、大丈夫なものは大丈夫……って思えばいいみたい」
「なるほど」
「話がずれちゃったから戻すけど、私自身も前の私と比べて、ちょっと変わったの。例えば、服もそうなんだけど……出番が増えたの」
「出番が増えた?」
「あ、えっと、これじゃなくて2つの時の物語の中の話なんだけどね、未来の私は元々ちょこっとだけ物語の中に登場するの。でも、今回時が変わったから……それぞれの登場人物たちのことが、もう少し深く掘り下げられるようになったの。それで、未来の私が登場する回数が増えたというか……」
「へぇ……! あれっ、でも……未来のフォーラって前の2つの時の物語に登場してた?」
「えっ?」
「……え?」
「あ、ああ……う、うん、えっと、その……ひ、秘密!」
「ぼかした!」
「ひ、秘密ったら秘密なの!」

緩やかな時が流れていく。
旅に必要なルクスの次の目的地の話題が出るのは、もう少し先の話だった……。



以上です。
こうしてたまにイラスト挟む感じになるかと。
もっと色々書きたいなー、描きたいなー。
少しずつ作業を進めていかねば……。